ここ数年で見せた孤高の音楽性を経て、再びポップ・フィールドに帰還したUA。もうこれは自明な事なんだけれども、ポップな“うたをうたう”UAというものを待ち望んでいた人は多いはず。デビュー時から聴いていたファンにとって、近作での大きな音楽的変化にはついていけない部分もかなりあったと思う。
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かくいうわたしも、デビューアルバム『11』が本当に大好きで何度も聴いていたわけで。では『泥棒』以降の展開についていけなかったかというと、まあ僕も割と変態なので、“らしい”なあと肯定的な見方をしていたのですが。エレクトロニカやフリージャズへ接近していく中で、比類なき声はどんどん神がかっていき名実共に孤高のアーティストというに相応しい存在に。アーティスティックな感性に基づいた活動および作品は、素晴らしいものでした。と同時に、音楽のもうひとつの側面である大衆性が欠如していったのも事実。ジャズとUAの饗宴的ライブ盤『la』では圧倒的な存在感に失禁しそうになるほど素直にすごい!と思いましたが、何度も聴き込むかというとそうではないんですよね。それは例えば僕は岡本太郎の精神性が好きなのですが、太郎の絵を日常的に飾っておきたいかというとそれはまた別で。たまに美術館などで触れる事によって、感性を呼び覚ましてくれるものなんです。だからいいんですね。先述のライブ盤なんか特にそうで、その一瞬限りしかないという現場の空気を感じられる生のライブに勝るものはないわけですが、CDでも少しだけでもその空気を味わえる最初に聴いた時の感激が大事で、何回も繰り返し聴くようなものではないのだと思うのです。
で、本作の話に戻りますと、これは繰り返し聴ける作品になっている。ポップ・フィールドへの帰還とはつまりそういうことで。ただ帰還とは言っても、音楽的変遷を通過したあとのものであるから以前とは深みが違います。ポップ・フィールドの中だからこそ、その特異性がかえって際立っているわけです。そんな中でも両A面シングルとしてリリースされた2曲が特にいいと思います。ずいぶんと余裕が生まれたという感じで、リラックスして音楽をつくっているなあと。抑えた感じのトーンでうたうUAはほんとうにいいですね。
と、試聴での感想でした。実際には僕は購入はしていなくて、聴き込むには至らないだろうなと思ったからで、それは個人的な嗜好の変化なんですが、ビョークもそうなんですが“強いボーカル”を聴くだけの体力がなくなってしまったようで。トシですね。数年前だったら喜んで聴いていたと思うんですが。
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泥棒はまだ許容範囲だったんですが、それ以降は…
ほんとポップのフィールドに戻ってきてくれて嬉しい。
でも泥棒リリース直後のライブ盤「空の小屋」は
ポップ時代の曲も泥棒の曲もいっしょたくたに
なってて、鳥肌物の歌を聴かせてくれます。
やっぱり凄いなー、この人。
あれだけ売れないものを作っておきながらw
こうして戻って来たときに受け入れられる土壌もある
っていうのも 特異な存在だなー って思います。
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