パレード / 吉田修一

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第15回山本周五郎賞受賞。
おもしろい。これは文句なしに面白い。男女5人による2LDK共同生活。
下北のメキシコ料理屋でバイト中のちょっと頼りない21歳大学生、若手人気俳優と熱愛中の23歳無職、雑貨屋店長をしながら日の目を見ない作品を描き続ける24歳イラストレーター、夜のお仕事に勤務する18歳男の子、映画配給会社に勤務する28歳男性。時系列に沿って、5章それぞれが各人の視点から書かれています。テレビドラマ「ひとつ屋根の下」(これほど青春臭くはない)や「めぞん一刻」(テイストはこっちに近いか)あたりのバタバタコメディの要素を持ちつつ、適格に今の時代を捉えた軽快な文章は実に気持ちの良いものです。出てくる人たちはみんな本当に居そうだもの。
この本の紹介文でよく目にするのが「このような共同生活を続けていく事ができるのは、皆がどこかでこの共同生活に相応しい自分を演じているから。」なるほど。そういうものかもしれない。だからこの5人間では恋愛云々の関係にはならないし、男はパンツ一丁でぶらぶらしてる。このくらいの距離感っていうのは居心地の良いものだろうなと思う(ちょっと憧れたりもする)。章が進むにつれ、その側面が強調されてくる。誰もが誰もをわかってはいない(ラストはちょっと極端だけど)でもだからこそやっていける関係もある。東京の生活とはつまりこういうものなのかもしれないな(住んだ事ないから想像だけど)。
ちなみに文庫版は表紙がちょっとアレなので、クサナギシンペイさんのイラストが素敵な単行本をおすすめ。

パレード
吉田 修一


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BGMはこれ:サニーデイ・サービス『MUGEN』


投稿者 山やま : January 18, 2005 | コメント (0) |トラックバック (0)|
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