デッドエンドの思い出 / 吉本ばなな
久しぶりに、吉本ばななの小説を読みました。 そしてやっぱり、私はこの人の小説すきだなぁと思った。 短編集なのですが、それぞれに漂う空気感は繋がっていて、そこには誰しもが心の中に持っている「エアポケット」のようなものがあった。時々ふっと、視界から余計なものが全て取り払われて、物事の輪郭がすっきりと見える瞬間が来たような、あの感じ。 あの場所にずっと居られるならば、どんなにかいいと思う。しなやかな確信があって、大切なものがしっかりと見えていて、全てが調和しているところ。 そんな場所で生きている人たちの、正しさ、とでもいうのか。
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「川」について書かれた一遍があって、「川」を突き詰めると、それは「時の流れだ」という。ゆったりと、時にはあっという間に、途絶えることなく流れていく。決して、待ってはくれないのだ。 でも、流れていない川を眺めても、心は動かない。それは川ではないから。 私はずっと、川のそばで暮らしている。生まれた場所もそうだし、そのあとも、そして今も。今思うと、気分が行き詰まった時は、いつも自転車にのって多摩川に行き、何をするでもなくずっと川を眺めていたりした。今も、心が落ち着かない時は、馬見ヶ崎川に行く。 そこに、エアポケットへの入口があるから。 川のある街を、ずっと好きだと思う。
http://www.yoshimotobanana.com/
投稿者 リョコ : July 7, 2004 04:45 PM
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